みゅ〜♪SS 『ONE〜血塗られた季節へ〜 後編』 作・めがね大臣
ONE〜血塗られた季節へ〜 後編

第四章 川名みさき
第五章 長森瑞佳
第六章 清水なつき
第七章 氷上シュン
エピローグ





























第四章 川名みさき

1
「とうとう見つけたわ・・・あなたなのね、澪ちゃんを殺したのは!?」
「みゅ?(注 なんだ、てめーは)」
「わたしの名前は川名みさき・・・あなたを殺す!!」
「みゅみゅ・・・(注 上等じゃねーか、コラ)」
 バチバチバチ・・・
 目の見えないみさきは、その虚ろな瞳に多大な怒りを含んでいた。
「あなたも知っていると思うけど、最長老様の寿命はもう後少し・・・わたしたちの戦いに巻き込まれれば、ドラゴンボールもなくなってしまう。そうなれば、おまえもまずかろう。場所を変えるぞ」
「みゅー(注 ほっほっほ。それほどの戦いになるとも思えませんが・・・ま、いいでしょう)」
 ドシュウウウ!
 二人は、舞空術でナメック星のはるか彼方まで飛び去っていた。

2
「みゅー・・・(注 さあ、いくぜ、このザコが・・・)」
「澪ちゃんの怨みは、絶対に晴らしてやる!!」
 みさきは、全身の気を時放つ。
「ザ・ワールド!!」
 ドシュウウ!!
 みさきのスタンドが発動する。
「みゅ、みゅー!(注 スター・プラチナ)!!」
 繭も、スタンドを発動させる。
 互いに、近距離パワー型のスタンド。
 当然、肉弾戦になることは容易に想像できる。
「・・・」
「・・・」
 シュっ!!
 一瞬で、二人の姿が掻き消える。

 ドゴゴゴゴゴゴゴ!!

 拳と拳をぶつける音だけが、虚空に鳴り響き続ける。
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ムダぁ!!」
「みゅみゅみゅみゅみゅ(注 オラオラオラオラオラオラぁ!!)」
 もはや、拳の弾道が見えないほどの激しいラッシュ。
 実力は僅差だ。少しでも、気を抜いた方が負ける。
「く!!」
「みゅみゅ!!(注 スキありぃいいい!!)」
 一瞬・・・ほんの一瞬だが、みさきが隙を見せる。だが、この勝負において刹那という言葉は、永遠に等しい価値を持つ。
 繭のスタンドが、みさきのスタンドのももの辺りを削り取る。
「ぐはあああああ!!」
 それに呼応して、みさきの足も削り取られる。スタンドを傷つけられると、本体にもダメージが行くのだ。
「みゅみゅみゅ!!(注 オラオラオラオラオラ!!)」
「あぶぶぶぶべべべ!!」
 それからは、もはや繭の独壇場だ。
 マシンガンのようなラッシュを浴びて、みるみるみさきの身体がへこんで行く。
「みゅー!!(注 とどめだぁああああああ!!)」

―――

「・・・!?」
 繭は、一瞬、何か妙な違和感を感じた。
 ただそれだけだったはず。それなのに、繭の前に、もうみさきはいなかった。
「みゅ!?(注 この一瞬で・・・バカな・・・何をした!?)」
「ハハハ。これが我がスタンドの能力よ!!」
 何時の間にかみさきは、繭の背後にいた。
「みゅ!?(注 まさか・・・時を!?)」
「その通り。このDIO様に、弱点はない!!」
「みゅ・・・(注 く・・・まさかこれほどまでとは・・・!)」
 みさきは、先ほど繭につけられた傷もすっかりふさがって元どおりになっている。
「フフフ・・・わたしは無敵だ・・・」
「!」
 また一瞬、繭は違和感を感じる。
 そして気付いた時には、腹を貫かれて吹っ飛んでいた。
「みゅーーー(注 うおおおおお!!)」
 ドゴオオオオ!!
「フフフ。死んでしまったかな?もうちょっと楽しみたかったのだが」
「・・・」
 繭は、地面に膝をついた格好で、両腕をだらんと伸ばして動かない。
「心臓の音は・・・聞こえない。フン。死んだか。念のため・・・」
 みさきは、ナメック星の土地に生えている道路標識を引っこ抜くと、それをふりかざす。
「これで首を撥ねて、確実な安心という形にしておくか」
 繭は、動かない。
「これで終わり・・・!?」
 そこまで言って、みさきは池の中に映っている光る何かに気付く。
「な、何だ!?」
「みゅーーーー!!(注 今だ、元気玉ああああああ!!)」
 ゴオオオオオオ!!
 ナメック星の生命を吸収したボールが、一直線にみさきに向って飛んでくる。
「バカな!?これを隠していやがったか!?」
 みさきは、思いっきり、跳ぶ。
 ゴオオオオ!!
 元気玉は、みさきの足元をかすめて虚空に飛び去った。
「みゅ!(注 ま、まずい!!)」
 だが、元気玉が飛び去った方向には・・・なんと、悟飯がいたのだ。
「みゅーーーーー!!(注 悟飯、跳ね返せーーー!それは、聖なる心の持ち主なら跳ね返せるはずだーーー!!)」
「お、お父さん!!」
 悟空の声を聞いて、悟飯が構えを取る。
 そして、元気玉を・・・跳ね返す!
「ば・・・バカなぁああああああ!!」
 完全によけたと油断していたみさきは、背後からまともに元気玉を受ける。
「こ、このわたしが・・・こんなものに・・・」
 だが、驚くべきことにみさきは元気玉の威力を何とか抑える。
 しかし、そんなものが長く続くわけがない。
「こんなものにィイイイイイ!!」

 ドッゴオオオオオオオオオオ!!!

 やがて、地面に激突して、元気玉は大爆発を起こす。
 この爆発では、さすがのみさきも生きてはいないだろう。
「みゅ・・・(ツケの領収書だぜ・・・)」
 ぴらり・・・
 繭は、一枚の紙切れを虚空に投げる。
 そして、そこら辺に転がっていたサイヤ人用の丸型宇宙船に乗り込み、地球を目指した。

































第五章 長森瑞佳

1
「フフフ・・・今頃あの娘はナメック星・・・その間に、このわたしが・・・」
「みゅ。(注 そう、うまくはいかなかったようだな)」
「な、なんだとォ!?」
 七個揃ったドラゴンボールを前に、瑞佳と繭は対峙した。
「みゅー(注 てめーだったんだな、浩平を殺したのは)」
「フフフ・・・そうよ。今頃気付いても、遅いけどね。それにまだ、浩平は死んでないし」
「みゅ!?(注 な・・・どういうことだ!?)」
「こういうことよ!!出でよ、神龍!!」

 ゴオオオオオオ!!

 瑞佳の言葉に呼応して、ドラゴンボールが輝く。
「みゅー!!(注 浩平!!)」
 驚くべきことに、その光の中から、ぐったりした浩平が姿を現す。
 そして、浩平の首が、龍のように長く伸びる。
『ドラゴンボールを七個揃えし者よ。さあ、願いを言うがいい。どんな願いも、一つだけかなえてやろう』
「こういうことよ」
「みゅうー(注 そうだったのか・・・)」
『さあ、願いを言え』
「七瀬留美も、里村茜も、上月澪も、川名みさきも・・・すべて、ドラゴンボール収集の邪魔者ばかりだ。そこで、おまえをふっかけて、殺させたわけさ」
「みゅー・・・(注 キサマぁあ・・・)」
『さあ、願いを言え・・・』
「少し予定が狂ったが・・・ここでおまえを殺せば、済むことだ」
「みゅー!(注 そう簡単に、わたしが倒せると思ってるのか!?)」
『さあ、願いを・・・』
「うるせぇ!!」
 ドゴオオオオオオ!!
 瑞佳のエネルギー弾で、神龍は粉々に砕け散った。
「みゅ!(注 キサマ、そんなことをすれば、願いが・・・)」
「フン。後で、ボンドでくっつければいいだけのことよ」
 瑞佳が、ただの石コロと化したドラゴンボールを蹴飛ばしながら、言う。
「さあ、行くわよ」
「みゅうっ!(注 望むところだぜ)」
 ゴゴゴゴゴゴ・・・
 二人の発する気によって、もはやその場所にあったものは粉々に砕け散っていた。
「はあああああ!!ベギラマ!!」
 まずは、瑞佳が先陣を切る。
 瑞佳の手の平から出た灼熱の炎が、繭に襲い掛かる。
「みゅー!(注 なんの!アクアブレス!!)」
 繭の吐き出した水泡が、ベギラマをいとも簡単にかきけす。
「フン。さすがは、あの四人を葬っただけはある!!」
「みゅー!!(注 次は貴様だ!!アバァアアアアン・・・ストラァアアアッシュ!!)」
 ドゴオオオオオオ!!
 繭のアバンストラッシュをまともにくらい、瑞佳は吹っ飛ぶ。
「みゅー・・・(注 さすがに、これで生きてはいないだろう・・・)」
「こんなものかね」
「!」
 砂塵の中から・・・人影が姿を現す。
 瑞佳だ。あれだけの技を食らって、傷一つ負っていない。
「やはり、貴様も100%で戦うに値しない。このまま、80%で決着をつけてやろう・・・」
「みゅー・・・(注 まさか・・・80%でここまで差があるとは・・・)」
「?」
 繭は、制服の腕を捲る。
 すると、繭の手首に、何か光るものが見える。
「呪霊錠・・・修の業か・・・」
「みゅみゅ・・・(注 今、外すしかないか・・・)」
 なんと繭は、ハンデをつけて瑞佳と戦っていたのだ。
 だがそれは、まだ全力を解放していない瑞佳も同じことだったが。
「みゅ(注 開!!)」
 バチイイイ!
 呪霊錠が解除され、繭の気が、足かせなしで放たれる。
「ほう・・・」
「みゅ!(注 いくぜ!!)」
 びゅ!
「―――!」
 繭の動きは、想像を絶する速さであった。
 瑞佳ですら、まったく捕らえられなかった。
「みゅうう!!(注 おらああああああ!!)」
「ぐはああああ!!」
 ドゴォ!!
 そしてまた、攻撃力も半端ではなかった。
「みゅみゅみゅ!!(注 オラオラオラオラオラ!)」
「・・・!」
 一瞬のうちに、百発以上のラッシュを、瑞佳は浴びる。
 シュオオオオ・・・
「みゅ・・・(注 ふう・・・)」
「フフフ。なかなかだ」
 だが、瑞佳は立ち上った。
 それは、繭も予測済みである。なにせ、まだ瑞佳は本気を出していないのだ。
「100%・・・」
「!」
 ゴゴゴゴゴ・・・
 瑞佳の筋肉が、まるで生き物のように蠢く。
 そしてまた、気も、尋常でないほどに上昇して行く。
「楽しい試合をしよう・・・」
「・・・!」
「うごおおおおお!!」
 ごき、ごき、めき、どぎゃ・・・
 瑞佳の筋肉は、みるみる発達を遂げる。
「フフフ・・・100%で戦える日を、まってい・・・」
「みゅうううう!!(注 ブラッディー・スクラーイド!!)」
 ズゴシャアアアア!!
「ご、ゴフ・・・」
「みゅみゅみゅ・・・(注 フ・・・世の中、汚い奴が勝つのさ)」
 なんと繭は、変身中は攻撃禁止のセオリーを破って、動けない瑞佳の心臓を貫いた。
「貴様ぁ・・・」
「・・・」
 ぼたぼたぼた…
 大量の出血をして、瑞佳は倒れる。
「みゅみゅみゅ…(注 心臓を貫かれては、身動きできまい…っていうか、死んだな。さあ、これで願いはこのわたしが…)」
 そこまで言ったときだった。
 繭は、生暖かい物を腹の辺りに感じた。
「…!!」
「油断したな…」
「みゅ…(注 バカな…!!)」
 繭は、剣で腹を貫かれていた。
 剣を持っていたのは…瑞佳である。
「心臓を貫かれたのに…なぜ、って顔をしてるな?」
 瑞佳は、未だ大量に出血している左の胸部を指差し、続ける。
「確かに、この心臓は潰れた。だが、わたしには…」
 次は、その反対側の、右側の胸部を指差して、言う。
「こっちにも、もう一つ心臓があるのさ。そこまでは、知らなかったようだな」
「みゅう…(注 化け物め…)」
「それは、お互い様だな」
 ごがッ!!
 瑞佳の蹴りを浴びて、繭は吹っ飛ぶ。
 いくら急所を外れているとはいえ、この出血だ。
 もはや、繭は生きているだけで奇跡に等しい状態にある。
「さあ、そこで見ているがいい。このわたしが、永遠の命を手にするのをな!!」
「…」
 コツン。
「…」
 瑞佳は、何かが顔に当たるのを感じた。
 小石。繭が、何とか投げたものらしかった。
 それで力尽きたのか、繭は正座したような格好で、ぐったりしている。
「貴様ぁ…最後の抵抗のつもりか…いいだろう、望みどおり、殺してやる!!」
 瑞佳は、剣を振り上げ、繭に近づく。
「死ねやあああああああ!」
「―――!!!!!!」
 その瞬間、繭の双眸が開いた。
「みゅうううう!!(注 うおおおおおおおお!!)」

 ズシュウ…!!

「…」
「…」
 ズバアアアア…!
 大量の血が、床を染める。
 その血は…瑞佳の、右胸から出ているものだった。
「まさかぁ…」
「…」
 バリィン!!
 繭のつけていた兜が、砕け散る。
 繭は、剣と化す能力のある兜で、瑞佳のもう一つの心臓を貫いたのである。
 最後の賭け。
 賭けには勝ったが、そこで、もはや繭も力尽きていた。
「みゅ…(注 ぐはあ…)」
「…」
 瑞佳と繭は、重なり合うように倒れる。
「みゅう…(注 なんとか…ドラゴンボールが悪用されるのだけは、防いだな…)」
「それはどうかしら!?」
「!!」
 凛とした声が、その場に響いた。





















第六章 清水なつき

1
「それはどうかしら!?」
「!」
 ざっ!
 繭たちとは、違う制服。
 その場に現れたのは、PS版限定キャラ、清水なつきであった。
「みゅう…(注 っていうか、あんた誰?)」
「あたしは、清水なつき!!『ONE』唯一の眼鏡っ娘よ!!作者の属性なのよ!!」
「みゅみゅ(注 でも、作者はあんたより、わたしのほうが好きみたいよ?証拠に、わたしこの小説のヒロインだし…)」
「シャラァァァァァップ!!」
 ダン!!
 清水なつきはキレた!!
「この世界の女は、すべて(ブ○を除く)眼鏡をかけるべきだと、作者も言ってるわ!!」
「…」
「…というわけで、神龍にお願いして、わたしを『ONE』のヒロイン一番人気にしてもらおっと」
 なつきは、せっせとバラバラになった神龍(浩平)をボンドでくっつける。
「みゅ…(注 まずい…このままじゃ、人気ランキングでわたしが最下位になる…)」
「繭…」
「みゅ!!(注 まだ生きていたか、このくされヒロイン!!)」
「わたしはじきに死ぬ…だから、わたしを取り込め。同化するんだ…」
「みゅう!!(注 そんなこと!!)」
「いいから早く!!」
 瑞佳は、強引に繭の手を引き寄せる。
 すると。
 パアアアアアア…
「みゅう!!(注 あああ!!)」
 瑞佳の身体と繭の身体が光り、やがて一つになる。
「…よーし。出来た。後は、神龍呼び寄せるだけね」
「そうはいかないな」
「な!?あなたは…あの傷で、どうして!?」
「同化したんだよ…」
 繭は、ぽきぽきと首を鳴らす。
 なんと、瑞佳の知識を得たおかげで、普通の言語を喋ることが可能になってしまった!!(本当は、もういちいち(注〜)で書くのが面倒になってきた作者の手抜き)。
「所詮貴様は不人気キャラ…おとなしく、違う原画家さんに描かれてろ!!」
「ひ、ひどい!!気にしていることを…許さん!!」
 ゴオオオオオ!!
 なつきは、不人気キャラとはおもえない程の殺気を放った。
 おそらく、力は今まで繭が戦った者たちよりも数段上だ。
「行くぞ!!」
「来い!!」
 なつきが、凄まじい跳躍力で繭に飛び掛かる。
「あの地球人のように、粉々にしてくれるわ!!」
「あの地球人…!?」
 繭の気の性質が変わる。
 繭は、完全に怒りに支配されていた。
「クリリンのことか…!?クリリンのことかぁああああああああああ!!」

 ドシュウウウウ!!

「な…!?サイヤ人は大猿にしか変身しないはず…一体なんだ!?」
「おまえは…あやまっても、もう許さんぞ…」
 繭の髪が、金髪になり、逆立つ。
「まさか…まさか!!」
「そうさ…おまえが恐れていた、スーパーサイヤ人だ」
「ぬかせーーーー!!」
 なつきは、凄まじい勢いで拳を繭に振り下ろす。
 ドガッ!!
 繭は、それを避けようともせずに、受けた。
「フン。戦闘力二十五万では、やはりこの程度か…」
 がし。
 繭は、そのなつきの腕をつかみ、思いっきり力を込める。
「ぐああああああああ!」
「フ…」
 ブシャアアア!!
 なつきの腕が、おびただしい血を上げて、ちぎれる。
「そろそろ喋ったらどうです?ドラゴンボールの、願いのかなえ方を」
「…はあああああ!!」
 ブシャ!!
 その言葉を聞きいれず、なつきは腕を再生した。
「フフフ…どうしてそう、ナメック星人は死にたがりやが多いのでしょうかねぇ…」
「ふざけるなぁああ…!!」

―――一時間後。
「…」
「フフフ…もう血反吐も出ませんねぇ…そろそろ、喋ってくれないと死にますよ?」
「ククク…おまえがそれを知っても、もう遅い!!」
「なんだと!?」
「今ごろデンデが、おまえの知りたがっている合い言葉を伝えに、あの地球人のところへ向かっているはずだ」
「!!」
 見ると、部屋にあったはずのドラゴンボールは、何故かなくなっている。
「おのれーーーー!!時間稼ぎだったのかぁあああ!!」
 ドシュウウウ!!
 なつきを見捨てて、繭は即刻飛び立つ。
「願いをかなえるのは、下等生物のおまえたちなどではなーーーい!!この、繭様だぁああああああ!!」
 なつきは、その姿を見て、呟く。
「…なにかが、違うような気が…」















第七章 氷上シュン

1
「フフフ…とうとう、この僕が願いを言うときが来たな」
「さあ、願いを言え」
 氷上シュンは、神龍を前に、含み笑いをする。
「ああ。まずは、繭が殺した奴らを、ドラゴンボールを使っても復活出来ないようにしてくれ」
「たやすい願いだ」
 ゴオオオオ…
「さあ、一つ目の願いは叶った。二つ目の願いを言え」
「僕の目的は、浩平…君だ。君が、欲しい」
「わかった。それが願いだな…」
 神龍の中から、浩平の身体が出てくる。
「ははは…やった、やったぞ!!」
「最後の願いを言え…」
「よし…僕と浩平を、永遠の世界…」
「この繭様を!!」
「―――!!」
「不老不死に…」

 バシュウウウウウウ!!

 その瞬間、神龍が消え、空は明るくなる。
「ああ…なぜだ…!?」
「最長老様が…おなくなりになられたのです…」
 デンデが言う。
「…フフフ、繭。君の願いは、叶わないようだ」
「貴様ぁ…初めてですよ、このわたしをここまで愚弄した大馬鹿者はぁあ…」
 バチバチバチバチ…
「絶対に許さんぞ!!じわじわと、なぶり殺しにしてくれる!!」
「フン…」
 シュンは、上着を脱ぎ捨てる。
「貴様は、浩平を僕の物にするためには、一番邪魔な存在だ。死んでもらう」
「ぬかせ!!」
 繭は剣を振りかざし、構える。
「君は、僕には勝てないよ…何故なら僕は…」
「ブラッディ・スクラァアアアアイドォオオオ!!」
 スゴシャアアアア!!
 またしても!繭は、シュンの能書きを待たずに、心臓を刺し貫いた。
「ぐはああああ…!!」
「フフフ…」
 だが、激しい痛みが身体中に走っているはずのシュンは、にやりと口元に笑いを浮かべる。
「な、何がおかしい…」
「人間はいいぞぉ…」
「き、貴様ぁ…!!」
 シュンは、自分の身体を刺し貫いている剣をつかむ。
「貴様、放せ、クロコダイル!!」
「ヒュンケル…人間はいいぞぉ…生まれ変わったら、俺も人間に…」
 シュンは、両手の指を、繭の頭に突き刺す。
「さらばだ、繭…」
「まさか…やめろぉーーー!!」
「メ・ガ・ン・テーーーー!!」

―――!!

 凄まじい振動が、大地を揺るがした。
 傍らに寝ていた浩平もろとも、繭とシュンは消し飛んだ。

―――伝説は、終わりを告げる。
 やがて時代は、血塗られた季節へ、戦士たちを運ぶであろう。(ヤケ)











エピローグ

「やがて時代は、血塗られた季節へ戦士たちを運ぶであろう…終わり」
「うううーー!!わくわくする話ぃ!!」
「そ、そうかぁ?」
 裕一は、自分の膝の上で喜ぶ真琴を可愛いと思いつつも、ちょっと彼女のセンスが理解できなかった。
「今は、少年誌でこんなのがやってんのか」
「うん。真琴も、本屋で見て初めて知った」
「裕一さん、真琴――!ご飯ですよーー!」
「あ、秋子さんだ。真琴、おなかぺこぺこー!」
「おいおい…さっき肉まん食ってただろ…」
「あうー…肉まんは、入るとこが違うもん」
「はいはい」
 裕一は、部屋の中に『ONE〜血塗られた季節へ〜』のタイトルの単行本を投げ捨てると…急いで、真琴の後を追った。
―――こうして、水瀬家の日常は過ぎて行くのでした。


















完。


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