『これもまた一つの日常1』 作・藤井勇気【華穂】
この日記は、あるひとりの少女が書いた日記……。
大好きな男の子が、ある世界へ旅立ってしまった後の少女の一年間と、
その男の子との再会を描いたひとつの物語の記録………。
5月○日はれ
今日もいつものように学校へ行く。
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「おっはよーっ繭♪」
「おはよーっみあ♪」
みあといつものように、朝のあいさつをする。
「ねえ、繭。昨日の宿題やってきた?」
「うん…やってきた……」
「よかった。わたし、忘れちゃってさ。お願いっ、見せてくれない?」
「うんっ」
「ありがとう繭♪。今日も一緒に頑張ろうねっ」
「うんっ♪」
みあはこの学校へきて、はじめてのともだち。
いつも元気であかるい。こっちまでえがおになる。だからだいすき♪
5月△日くもりのちはれ
今日はおかあさんといっしょに、おフロにはいった。
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「みゅ〜みゅみゅ〜みゅ、みゅぅ〜♪」
「繭。ご機嫌みたいね」
「あっ…おかあさん♪」
「たまには親子水入らずで、背中の流しっこでもしようかなぁ〜て、思ったの」
そういっておかあさんはいっしょに、湯船につかった。
ざあぁーっと、お湯がながれでる。
「繭。学校は楽しい?」
「うんっ、たのしいっ♪」
「そう…、この前もお友達のみあちゃんと一緒に、遊んだものね」
「うんっ、みあだいすき♪」
「お友達出来て良かったわね、繭……」
そのあと、おかあさんのせなかをながした。おかあさんのせなかは、白くてきれいだった。
6月○日雨
今日は、みゅーのおはかへおまいりにいく。
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「みゅー…きたよ」
みゅーのおはか…。おっきな石の下にみゅーがねむってる。
「みゅ〜……」
雨にぬれてみゅーが泣いている。だから傘をさしてあげる。
「みゅー…これも…」
もってきたお花を、みゅーのそばにおいてあげる。
みゅーのおはか…。浩平が手伝ってくれたおはか…。
たぶんみゅーも、よろこんでるとおもう。
「またくるね、みゅー♪」
6月△日雨
今日学校で、クラスの男の子に話しかけられた。その後みあがものすごく
おこって、たいへんだった。
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「みゅ〜、みゅ〜ん♪」
今日も学校。たのしい学校。もう、いやなんておもわない学校。
「おい…お前……」
「ほえ?」
「ほえ?じゃねえよ。お前だよお前。え〜と…確か……しいなだったかな?」
「うんっしいな」
「お前さ…、その喋り方、止めてくんねえかな」
「ふえ…?」
「それだよ、それっ。その喋り方がなんか気にいらねえんだよ」
「ちょっと斉藤君!そんな言い方ってないと思わないっ」
みあがこわい顔をして、やってきた。
「なんだ?白川。こいつの肩を持つって言うのか」
「そうゆう問題じゃないわっ。ただ、あんたのくだらない理屈で、
繭を困らせないで欲しいの」
「へっ、な〜に言ってんだか…。こいつみたいな知◯遅れに迷惑だとか、
傷つくだとかなんて、考える頭あるわけねーよ」
「斉藤っ…!?あんたぁっ!!」
みあがすごいきおいでさいとう君につかみかかろうとする。
「お、落ち着いてよっみあ!」
となりにいた子が、みあの肩をつかんでとめた。
「放してよっ!あいつは……、あいつだけは絶対っ、許せないっ!!」
「よしなよ。こんな事で喧嘩しても、なんにもならないよ…」
「くっ…くうぅ〜………」
みあがとてもくやしそうな顔をして、ふり上げたうでを下ろした。
「ふん…、面白くねえ。おい、椎名っ。さっき言ったこと忘れんなよ。
…帰ろうぜ、みんな」
さいとう君は、べつの男の子たちといっしょに、教室をでていった。
「あ、あいつーっ!。いくらなんでも言っていいことと、悪いことがあるわよっ」
「まあまあ…、多分斉藤君も、受験勉強かなんかで、イライラしてるんだと思うよ」
「だからって、繭にあんなこと言っていいわけないでしょうっ」
「そりゃ、そうだけど……」
「ねえ、繭」
「はえ…?」
「あんな奴の言うことなんか、絶対に聞いちゃ駄目だよっ。良い?。
繭は繭で、好きなようにすれば良いんだから。もし困ったことがあったら、
遠慮なく言ってね」
「う、…うん……」
よくわからないけど、とりあえずうなづいておいた。
みあの顔がこわかったから……。
6月□日また雨のちはれ
今日も雨だった。雨はすきじゃない…。あの日のことをおもいだすから……。
浩平がいなくなった、あの日のことを………。
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パシャ…パシャ…パシャ……。
学校のやねからながれおちる雨のしずくが、地面に小さな水たまりをつくる……。
それをじっと、教室のまどからながめる。
もう何日もふりつづいてる。外であそべなくてたいくつ。
(椎名…、オレはテリヤキのセット。後はお前の好きなものを頼め)
(うんっ)
(金があるだけで、どれだけ頼んでもいいから)
(みゅーっ♪)
「浩平……」
雨の日はおもいだす…。あのときは今日のような雨じゃなくて、もっとすごい
雨だったけど……。ハンバーガーをかうときわたされたおサイフ、今でももってる…。
「ま〜ゆ♪。なーに、たそがれちゃってんのよ」
肩に手をかけて、みあが話しかけてくる。
「ほんと、雨って嫌だよね。じめじめしてて、鬱陶しくて…。早く梅雨が
終わんないかなぁ……」
「……」
「ねえ、ま……」
きゅうにみあが話すのを止めると、おどろいた顔をして、わたしの顔をのぞきこんだ。
「ちょっと…、どうしたの繭…。なんかあったのっ?」
「ほえ?」
「ほえ?じゃないよっ。繭、今にも泣きそうな顔してるんだもん」
そうか…。あのときのこと考えてたから、泣きそうになっちゃったんだ……。
「まさかっ、また斉藤になにか悪さされたんだねっ?」
「あの…、みあ…」
なんだかみあ、かんちがいしてる。
「あいつーっ!、今日という今日は絶対にっ……」
「ちがうのっみあ…」
さいとう君にむかっていくみあを、ひっしでとめる。
「なにが違うって言うの。どーせ斉藤の奴に、変なことされ……」
「そうじゃない……。さいとう君はなんでもない……」
「えっ?。じゃあさっきなんであんな顔してたの…?」
「…ちょっと…、おもいだしたから……」
「なにを……?」
「……」
今は…、いいたくない…。もし話したら…、泣いてしまうかもしれない……。
もう泣かないって決めたから…。泣いてばかりじゃ…、いられないから………。
「まゆ……。解った、聞かないでおく。でもね、我慢できないくらい辛くなったら、
いつでも相談してね。だってわたしと繭は、友達なんだもん……」
「ありがと…、みあ……」
しぜんと、えがおになる。
「そうそう、繭は笑った時が一番可愛いよ♪」
「うんっ♪」
あのときの雨の日から、浩平はいなくなった………。
浩平がわたしにのこしてくれたものは、みゅーのぬいぐるみと、おサイフだけ……。
浩平がいないとものすごくさびしい…。ものすごくかなしい…。
でも、泣いてたら浩平におこられる…。浩平がかなしむ…。だからえがおでいる。
また浩平にあったとき、浩平によろこんでほしいから、えがおでいる………。
「雨…、やまないね……」
「うん……」
みあといっしょに、まだふりつづける雨をみつめる。
この雨が、わたしのかわりに泣いてくれてるような気がした…………。
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勇気「こんにちわ〜藤井勇気で〜す♪」
華穂「皆様こんにちわ、椎名華穂です」
勇気「今回出したSS『これもまた一つの日常』は、TacticsさんのSSコーナーに投稿した物
ですけど、実際タクのSSコーナーを読んでない(知らない)方がいると聞きまして、誠に
勝手ながら同じSSを出させていただきました」
華穂「ただ同じ物を載せるのも酷だと思いまして、後書きとそしてほんのちょっとだけ加筆修正
させていただきました」
勇気「では今回のSSの解説です♪」
>5月○日はれ
まあ、始めですから繭の親友「みあ」が登場(掲示板では見かけませんが、皆様ご存じですよね?)
僕のこのSSの設定では、繭は浩平とHした状態です(繭ファンの方ごめんなさい(T-T))
>5月△日くもりのちはれ
繭ママこと椎名華穂さんの登場です♪お風呂はサービスシーン♪…ではありませんが、このシーンで
繭と華穂さんがどれだけ心を通わせ合っているか、お察ししていただければ幸いです(^-^)
>6月○日雨
みゅーは繭初登場時に出ただけで、それ以降の出番がなかった(仕方ないけど)親友との別れで繭は
強くなったのですから、また登場させるのもアレなのかもしれませんけどね(^^;
これ以降、繭はみゅーのお墓に行くようになります。現実から逃げるのではなく、大切な親友を死して尚
大事にしていきたいから……。
>6月△日雨
斉藤健一君(オリジナルキャラ)登場♪モデルは浩平ですね〜。一見不良っぽい感じですけど、
実はとても言い奴というお約束な野郎です(^-^)
>6月□日また雨のちはれ
ここで繭の中に、浩平への想いがどれだけ残っているかを書いてみました。ただの優しかったお兄ちゃん
ではなく、ずっと側にいて欲しい人…そう言う想いと、みあとの友情みたいなものを書いてみました。
勇気「…と言うわけでして、今回はその1でした」
華穂「次回その2は近い内にみゅ〜♪連さんに送りたいと思います」
勇気「それでは皆さん稚拙な文章でしたが……」
華穂「ここで失礼させていただきます。ありがとうございました♪」