みゅ〜♪SS 『もっと危険な遊戯』 作・雀バル雀
「よーし!椎名、帰る前に少し遊んでいくか?」
「うんっ!」
「わあ〜楽しそう。私も一緒に遊んでイイ?」
「おぅ!長森。じゃあ三人で遊ぶか。…椎名、何して遊ぶ?」

「…Fごっこ…」

「…椎名、おまえ…えらくマニアックな遊び知ってるんだな…」
「浩平、何?『Fごっこ』って?」


*<Fごっこ>…「何人たりとも、俺の前を走らせねぇ!」と叫びつつ、下り坂を自転車で、フルスピードで下るという単純な遊戯
 単純が故に、多くの漢たちが、新記録を目指して挑戦した。うち何人かは、洒落にならない経験をしている。同類に、チキンレースや、キャノンボールなどがある。
                 
大民命館書房『禁じられた遊び』より。


「わあ!そんなの危険すぎるよ」
「確かに…何かあったら椎名のお母さんに申し開きが立たないしな。…椎名、他には?」

「…まふうは…」

「…椎名…お前本当は幾つなんだ?」
「ほえ?」
「浩平、何?『まふうは』って?」



*『魔封波』…ゴキブリやカエルやトカゲなどを生け捕りにして、水洗便所に入れて流す遊び。
稀に這い上がってくる強者を『ピッコロ』と呼び、敬意を込めてもう一度流してやるのだが、子供ながらに「残酷だなぁ」と実感したものだ(笑)


「あれは結構楽しいんだよなぁ。…でも今は冬場だから獲物がなぁ…」
「そういう問題じゃないよ〜…繭、他には?」


「…はい、ぽーず…」


「おっ!それは懐かしい。それならこの学校でも出来るしな」
「浩平、何それ?…また危険な遊びじゃないでしょうね?」
「大丈夫、その心配はない。…いくぞ!、繭、長森」
「みゅーー!!」
「ちょ、…待ってよ二人とも」


〈屋上にて…〉


はぁ〜あ〜

「手を広げて……ハッ!」
「みゅっ!」

「………」

「足を組んで……ウゥ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン(謎の掛け声)」
「みゅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ」

「………」

「どうした長森?やらないのか?」
「みゅ?」

「……こんな恥ずかしいコト出来る訳無いよ〜」

「そうか?けっこう楽しいぞ、な?」
「みゅーっ♪」


*『ハイ、ポーズ!』…「おかあさんといっしょ」でやってたヨガ風味の謎のコーナーから。
黒いレオタードを着た謎のおねえさんと、側で何も知らないいたいけなガキが暴れるのがなんとも言えない味わいがあった。
締めの「座禅を組みながらの謎の掛け声」…あれ、何て叫んでたんだろう?


「みんなヘンな目で見てたよ〜」
「それが楽しいんじゃないか。なぁ?」
「みゅ〜♪」
「だめだよ繭。…もう、他にまともな遊びは無いの?」

「けんぱっ!」

「ゲッ!…ま、繭〜…けんぱは、や、やめようよ」

「みゅー…」

「あはは、この前がこの前だったからなぁ。…繭、勘弁してやれ」

「うん…」

「じ、じゃあ繭。他になにして遊びたい?」

「………」

「なんでもいいんだよ。ね?」


「…ばしるーら…」


「ぐわっ…そ、そいつは…」

「へ?…わたしその遊び知らないよ。繭、教えてくれる?」


「うんっ!」


がしっ


「へ?…ち、ちょっと〜!ま、繭!!!足掴まないで〜っ!!」

「椎名っ、やめろっ!」


ぐりぐり…ばしっ!


「わぁ!…わ、私の靴を〜っ!!」

「ふぃっ!」


ひゅ〜〜〜〜〜〜ん…


……………


……………


「…わ…わたしの靴が……」

「うわぁ…本気で投げ捨てちまいやがった?」


「みゅ♪」


*『バシルーラ』…相手の靴や鞄などを「バシルーラ!」」と叫びながら遠くに投げ捨てる、最凶最悪の呪文(笑)
ファミコン世代には、その猛威を肌で知っている人も多いだろう。「名前を変えただけの苛め」という学説もある。

大民命館書房『禁じられた遊び』より


「うっ…うううっ…わたしのお気に入りの靴がぁ…」

「泣くなッ!長森。…俺が一緒に探して来てやるから、な?」

「うううっ…うん…」


「みゅ〜?」


<数十分後…>


「やれやれ、やっと見つかったよ〜」

「繭、結構肩強いな…」


「みゅ♪」


「誉めてないんだけどね…。ねぇ、繭?」


「みゅ?」


「おままごとにしない?…ほら、繭も女の子だし…」


「…おままごと…みゅ〜♪」

「えー!俺は嫌だぞ…恥ずかしいし」

「だーめ。繭も浩平と一緒がいいよねー?」


「うんっ!」


「一緒じゃないほうがいいよな?」


ふるふる


「…みんなでやるもぅん…」


「ほら、ね?」


「ぐわぁ…お、おままごとかよ…」


「みゅ♪」

  ・
  ・

「じゃあ、わたしが『美人で評判の繭ちゃんのママ』で、浩平が『仕事はできないけど、奥さんべったりの優しい旦那さん』、繭はわたし達の娘ね」

「なんか随分お前に都合がいい設定だなぁ…」
「みゅー」

「あはは、きっと気のせいだよ。…じゃあ始めるね。最初は浩平が仕事から帰ってくるんだよ」

「しゃーねぇーな。…うぃーっす、今帰ったぞー」

「おかえりなさーい。あなた、ご飯にします?それともお風呂に?」

「その前にお前を…いただきまーす!!」

「や〜ん…ダーメ、繭がまだ起きてるんだから」


「みゅー…」


「繭、もう大人の時間だぞ。早く寝なさい」

「さ、おやすしようねー。ママがご本読んであげるから」


「………」


「ん?繭、どうしたの?ご本嫌い?」


「…本当のおかあさんじゃないもぅん…」


「ぐっ…い、いい子だからそんなこと言わないで、ね?」

「子供は正直だなぁ」


「………」


「おいで、繭。おかあさん怒らないよ」(お約束)


「………」


とたとたとた…


「さ、繭。ママの膝は繭の指定席……って!ぎゃあああああああ!!」


ばきぃ!


「…おかあさんヅラするんじゃないもぅん!」


ばきぃ! どがぁ!


「イタイ!イタイ!ま、繭〜!やめて〜〜〜!!」

「こらっ!繭、やめないか!」


ばきぃ!


「ふぐぉ!…い、良いパンチしてるぜ…」


「うるさいみゅ〜!…アタイに触るとケガするもぅん!!」


「繭!どうしてこんな!?…ぎゃあああああああ!!!」


ばきぃ! どがぁ!


「アタイは捨て猫だもぅん!馴れ馴れしくしないで欲しいもぅん!!」


ぎちぎち


「きゃああああ!!か、髪引張らないで〜っ!!」

「繭!…(まさか!?)…『積み木崩し』かぁ!」


*『積み木崩し』…ままごとをしてる最中、子供役が突然暴れ出し全てをぶち壊す遊び。
これは砂場での『怪獣ごっこ』から派生したと言われるが詳細は不明。
「アタイはあんたの娘なんかじゃない!」と絶叫しながら母親役にオモチャを投げつける快感は、一度やったら病みつきに(大笑)

大民命館書房『禁じられた遊び』より


「やめろっ!やめろっ!ままごと中止!!」

「うっううう…髪がぁ…グスン…」


「みゅ…つまんない…」


〈さらに数十分後…〉


(結局ままごとは中止。けんぱをすることになった。浩平が瑞佳を保健室に連れて行っている間、繭はまた一人で『けんぱ』の準備をしていた)


とたとたとた

「椎名…けんぱの準備できたか?」

「………」

とたとたとた

「……け、けんぱ!?……」

「長森…お前は休んでてもいいんだぞ。この前のこともあるし…」

「やるっ!」

「お、おい?…大丈夫か?」

「みゅ〜♪」


「浩平…わたしはこれでも、かつては『けんぱの女王』と町内で名を覇せた女だよっ!リベンジだよ!」


「そ、そうか…じゃあ、一番でいいよな?」

「もちろんっ!…繭、今までの“けんぱ”が子供のお遊戯でしかなかったことを証明してあげるよっ!…はっ!」


とん、た、とん、た、とん、たっ、た…


「おお、さすが長森。尋常じゃないスピードだっ!」

「…びっくり…」


とん、た、とん、た、とん、たっ、た…


「このまま嘗められたまま終わるわけにはいかないもんっ!」


とん、た、とん、た、とん、たっ、た…


「……(!)そこっ!」

だっ!


「すげぇ!『地雷原』を見抜いた!」

「みゅーっ!」


とん、た、とん、た、とん、たっ、た…


「ふっ…この長森瑞佳が本気をだせば『地雷』なんて」


とん、た、とん、た、とん、たっ、た…


「さすがは長森…けんぱの鬼だ…」

ふるふる

「…けんぱ…ちがう…『りゅうじんいけ』…」

「へ?」


とん、た、とん、た、とん、たっ、た…


「あははーっ、調子でてきたもんっ!」


「油断するな長森ー!これは『けんぱ』じゃなくて…『龍神池』なんだっ!」


「…え?」


とん、た、とん、た、とん、たっ、た……ぐちゃ!


「きゃああああ!!!なんか踏んだぁ!!!……わっわっわっ」


ぐちゃ!


ぐちゃ!


ぐちゃ!


「ひぃいいい!!みんな『地雷』だよ〜!!」


「椎名!…お前難易度幾つにしたんだ!?」

「…てんのうへいか…」

「そんなんクリアできるかぁ!!」


*『龍神池』…由来はもちろん『風雲たけし城!』から。前回の『地雷入りけんぱ』との違いは“競技用”であるという点。
大抵は「攻略できたら千円やる」という口約束で開催される。
前回の“けんぱ”の『地雷』はあくまで“罰ゲーム”の域を出てないが、この『龍神池』は「クリアさせない」ことを目的に作られているため、難易度もペナルティも恐ろく深化している。

なお、難易度としては…

・天皇陛下(99%攻略不可能…賞金も3千円ほどまで跳ねあがる)
   ↓
・総理大臣(ま、上手い人ならどうにか)
   ↓
・先生(このレベルが一般的…賞金は千円が普通)
   ↓
・子供(練習用)
   ↓
・ギョウチュウ(これが出来ないと「ギョウチュウ」呼ばわりされ、苛められる)

…という具合(笑)

大民命館書房『禁じられた遊び』より


「踏ん張れーっ!長森ー!!」

「みゅーっ!」


「あわああ!!そ、そんなこと言ったって〜」


ぐちゃ!

ぐちゃ!


「もうこうなったら一気に駆けぬけろーっ!こけたら前回の二の舞だぞー!」

「みゅーっ!みゅーっ!」


「ひぃいいいいいいいいいいい!!!」


ぐちゃ!

ぐちゃ!

ぐちゃ!

ぐちゃ!


…ずるっ!


「…………………!」


「長森〜〜〜っ!!!!」

「みゅ〜〜〜〜〜っ!!!!」


〈これ以降のシーンは、かなり過激な描写を含むためカットいたします…ご容赦ください〉 


1月*日

きょうもみゅーとあそんだ。おねえちゃんとも三人であそんだ…。
一人であそぶよりも、ずっとたのしかった。
けんぱしてあそんだ。おねえちゃんとってもじょうず…。
だけど、途中で終った…しっぱい。
みゅーは『人身事故』って言ってた…よくわからない。
おねえちゃんが怒ってるのはじめて見た…とても怖かった…びっくり。

「またこんどあそぼう」って言ったら、「もうやだよ」って泣きながら言ってた。
おねえちゃんどうしたんだろう?でも、みゅーは少し笑ってた。
    
  <おわり> 

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どーも、雀バル雀です。「みゅ〜♪連」10000hitおめでとうございます(^^)
記念として、拙いデキですがこのSSをお納めください。

う〜ん、キレがあんまりだなぁ。
まとまりも悪いし。

分る人には楽しめると思います、よかったら感想くださいね。

それでは!
いつか繭好きが世界を覆い尽くす日を信じて(笑)

1999/8/5 雀バル雀。


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